法人化は税金だけでなく社会保険料に留意が必要です

事業が軌道に乗って来たお客様から、法人化についてのご相談をいただくことがあります。

その際に「個人事業のままだと税金がとても高いので」と仰る方が多いです。

確かに、所得税の場合、仮に900万円前後の課税所得金額の場合には、23%~33%の税率となります。

対する 法人税の場合は、年800万円以下の所得までは、税率15%ほどに抑えることが可能です。

また、法人から支給される給与には、給与所得控除額が適用されるので、所得税の額を抑えることも出来ます。

ただ、税金部分のみに着目して「法人化は節税効果があるからトクである。」と判断するのはいささか危険な部分があります。

表題にもあげてますように、法人化を検討する場合には、社会保険にも着目する必要があります。

法人になると、社会保険に加入をし、社会保険を納める義務がでてくるためです。

 

法人化と個人事業の比較の一例

では、法人化した場合と個人事業の場合で、どれくらい税金及び社会保険の金額の開きが出てくるのか、例を用いてみてみましょう。

【例】
売上高 1,500万円
諸経費 600万円
利益 900万円

 

1.個人事業の場合
① 事業所得に係る所得税及び住民税※1 約163万円前後
② 個人事業税※2 約30万円
③ 国民年金保険料 約20万円前後/年
④ 国民健康保険料 約100万円前後/年

税金と社会保険の合計(①+②+③+④);約313万円前後

※1 青色控除、基礎控除、社会保険料控除(国民年金、国保)のみを適用と仮定して計算
※2   5%で試算

 

2. 法人化の場合
① 法人税等※3 7万円前後(均等割のみ)
② 給与所得に係る所得税及び住民税※3 約120万円前後
③ 厚生年金保険料 約143万円前後/年(会社負担分含む)
④ 健康保険料 約93万円前後/年(会社負担分含む)

税金と社会保険の合計(①+②+③+④);約363万円前後

※3 役員報酬を年900万円(利益相当額全てを役員報酬とする)と仮定し、基礎控除、社会保険料控除のみを適用と仮定して計算した場合

(注)2024年4月時点における場合での試算となり、その時々や各自治体(社会保険料)によって若干の差が出て参りますので予めご了承ください。

 

社会保険料が高い

比べてみますと、確かに、税金部分のみは、法人化した方がお安くなります。

個人事業の場合;193万円(上記①+②)
法人化の場合 ;127万円(上記①+②)

しかし、社会保険料を併せたトータルでは、法人化の方が約50万円程高くなっています。

 

なぜ、社会保険料が高くなるのか?

会社負担分と個人負担分の両方を納めなければならないからです。

具体的には、個人負担分は、給与から控除して、会社負担分と併せて納付するかたちです。

他の会社に勤めている会社員の場合は、会社負担分については、気にはならないかもしれませんが、自分が経営する会社になると、実質は自分が納める形になるので、「社会保険料が高い」と負担にかんじるでしょう。

 

法人化にあたっては様々なことを考慮する必要がある

法人化した場合には、一定の場合には消費税が2年間免税になるなどの節税メリットもあります。(ただし、インボイスの登録を行うと免税事業者にならない。)

ただ、上述したように、思いがけず、社会保険料の負担が重くのしかかってくる場合もありますので、様々なことを考慮して検討する必要があります。

上記はあくまでも一例であり、役員報酬の金額によっては、社会保険料を抑えることも可能です。

10の事業者があれば、10通りの法人化のパターンがあるでしょう。

もし、法人化についてお悩みの場合は、一度ご相談頂けましたらと存じます。

 

 お問合せフォームお電話( 06-4400-3271)又はメール( minematsu@minematsu-tax.com )よりご相談のお申し込みをお待ちしております。

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