資金繰り悪化の原因は必ずつきとめ、早期に改善策に乗り出すことが大事

資金繰りが厳しい状況のとき、まず取るべき行動は、応急処置

会社のお金が日に日に少なくなっていく状況は非常に心もとなく、

経営者の不安を大きく煽るものです。

それもそのはず、会社は赤字が出ても、お金が沢山あれば潰れることはありませんが、

仮に黒字だったとしても、お金が無くなったら終わり。潰れてしまうのです。

資金が底をつく危機が迫ったときは、緊急度を上げて窮地を脱しなければなりません。

とりあえず、急ぎ、資金調達をするということです。

資金調達の方法として、

・社長個人等からお金を借りる

・定期預金や定期積み金を取り崩す

・手形を割り引く

・金融商品等を売却する

・金融機関からお金を借りる

・棚卸資産や固定資産を売却する

などの応急処置を行う必要があります。

これらによって、お金を調達することができれば、

一時的に窮地を脱することはできます。

ただし、「一時的」です。

安心してはいけません。

応急処置が出来ただけで、根本的な原因は何ら解決できていないからです。

病気で言えば、お腹が痛くて、原因は分からないけれど、とりあえずバファリンを服用して痛みを抑えた状態と同じです。

一時的にはバファリンのお陰で痛みは止まるでしょうが、
腹痛を引き起こす根本原因である、病気自体を治さなければ、再び痛みは襲ってくるでしょう。

「なぜ、我が社は、資金繰りに困る状態になってしまったんだろう?」と

考えてください。

その原因をつきとめて、改善することこそ大事なんです。

資金繰りが厳しくなった原因を追及する

応急処置で、とりあえず一時的に危機を脱することができても、

お金が減っていく要因をつきとめて改善しなければ、またお金が足りなくなるのは目に見えています。

経営不振の会社からは血が細々と流れ出ている状態で、この血を止めなければならないのです。

資金繰りが厳しくなる要因には、様々な要因があります。

会社が10社あれば、10通りあると思っていいでしょう。

まずは数字を確認すること

例えば、会社の今期の数字を見て、前年と比較したときに

明らかに売上高が減少していたとします。

売上高が減少するということは、会社のお金が減る要因になり得ることです。

お金を払ってせっかく商品を仕入れても、売れないかぎりお金は入ってきませんから。

なぜ、売上げが減少したのか?

その要因を究明しなくてはなりません。

パン屋を例にしてみましょう。

【 パンの売上げが今期に入って減少傾向の場合 】
・パンの味、品質は保たれていたか?
・気持ちの良い接客は出来ていたか?
・近隣に競合店ができていないか?
・売れ筋パン、そうでないパンの分析はできているか?
・新規顧客の呼び込みはできているか?

など、パンが売れなくなった要因について、様々なことが考えられます。

それがお店内部の問題なのか、外的な問題なのか、その両方なのか、様々な角度から分析する必要があります。

原因の究明が出来たら改善に向けての行動

原因の究明が出来たら、「なるほど。。」と納得するだけはダメです。

なんらかの行動に出ない限り、いつまでたっても売上高は伸び悩んだままです。

やがて事業の存続自体、危なくなるでしょう。

売上高を上げて、お金が減る状態を食い止めないといけません。

上記のパン屋の例ですと、

【 パンの売上げが今期に入って減少傾向の場合 】
・パンの味、品質は保たれていたか?→一定の品質が保てるようなマニュアル化の徹底
・気持ちの良い接客は出来ていたか? → 店舗スタッフの教育方法の見直し
・近隣に競合店ができていないか? → 敵を知り、差別化を図る
・売れ筋パン、そうでないパンの分析はできているか? → 売れない商品からは撤退する
・新規顧客の呼び込みはできているか? → 知ってもらえる方法を検討する

などの改善に向けての戦略を練り、それを実行にうつさなければなりません。

上記は要因について具体的にイメージしていただくためのほんの一例です。

要因はほんとうに沢山あり、

それぞれの要因に応じた改善策を検討しなくてはなりません。

何事も早めに手を打つことが大事です

いよいよ資金繰りが苦しくなってから、慌てることは精神安定上、よろしくありません。

できるだけ早めに手を打てるようにしたいところです。

問題点について究明でき、頑張ったとしても、残念ながら、すぐに結果がついてこない場合だって大いにあります。

経営を立て直すこということは、それなりに時間のかかるものです。

応急処置にしても、社長の個人資金から借りることが可能な場合は、問題ないですが、

金融機関から借りる必要がある場合は、すぐに借りれるかどうか分かりません。

もしかしたら、借りれない場合だって大いにあるのです。

経営不振の会社に対して、銀行も簡単に首を縦には振らないでしょう。

資産の売却にしても、金融商品などは換金しやすいですが、

土地などの固定資産の場合は、すぐに売れるものではありません。

売り急ぐと、足下を見られるリスクだってあるのです。

数字に関心を持っていただきたい

やはり日頃から経営者のみなさんが数字に関心をもつことが大事です。

売上高や粗利益率は減少傾向ではないか、

経常利益を圧迫している経費はないか、

資金繰りを厳しくしている無駄な支出はないか、

役員報酬、人件費は適切か

在庫を多く抱え過ぎてはいないか

回収が滞っている売掛債権はないか

資金繰表も作っておくと更に安心ですね。

普段から数字に関心をもつことで、重要な意志決定を適切な時期に行うことができますし、

資金繰り悪化などの重大な問題が予測出来るときも、早めに手を打つことができます。

(金融機関に対してリスケジュールの交渉や、その他利害関係者に対する支払額の減少や支払い期日遅延の交渉なども含めて。)

会社の数字は税金を計算したり、節税のためだけにあるのではありません。

「数字のことは税理士に任せてるから、何も知らん。」なんて絶対に言わないでくださいね。

経営者のみなさん、日頃から是非、自社の数字に関心を持ってください。

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